外国人を雇用する際、企業の人事担当者が最も注意しなければならないリスクの一つが「不法就労助長罪」です。
「偽造在留カードだと知らなかった」「確認を怠っていた」という場合でも、処罰の対象となる可能性があります。本記事では、企業が不法就労助長罪を回避するために絶対押さえるべき「在留カードの正しい確認手順とポイント」を徹底解説します。

1. 不法就労助長罪とは?(企業・担当者が負うリスク)
不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2)は、不法就労者(不法滞在者や就労不可の在留資格者など)を事業活動において雇用したり、斡旋したりした者に適用される罪です。
- 罰則:3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金(併科される場合あり)
- 対象:会社(法人)だけでなく、採用を担当した人事責任者や事業主個人も罰則の対象となります。
- 「知らなかった」は通用しない:在留カードの確認を過失により怠っていた場合(過失の有無)も処罰の対象とされるため、十分な確認措置が義務付けられています。
2. 面接・雇用時にチェックすべき在留カードの5大ポイント
不法就労を未然に防ぐため、採用時には必ず「在留カード(原本)」の現物を提示してもらい、以下の5項目を確認してください。
| 確認項目 | チェックすべき具体的ポイント |
|---|---|
| ① 就労制限の有無 | カード表面中央の記載を確認。「就労不可」と書かれている場合は原則雇えません。「在留資格に基づく就労活動のみ可」の場合は自社の業務内容と合致しているか確認します。 |
| ② 資格外活動許可の有無 | 留学生(留学)や家族滞在などで「就労不可」の場合、裏面の「資格外活動許可欄」を確認。「許可(原則週28時間以内)」のスタンプ等があるかチェックします。 |
| ③ 在留期間(満了日) | カード表面右下の「在留期間の満了日」が過ぎていないか(オーバーステイでないか)を確認します。 |
| ④ 顔写真・基本情報 | 面接に来た本人と写真が一致しているか、氏名や生年月日に不自然な点がないか確認します。 |
| ⑤ 偽造防止対策(ホログラム等) | カードを傾けた時に「MOJ」の文字やホログラムの色が変化するか、文字のフォントに違和感がないか物理的な確認を行います。 |
3. 偽造カードを見抜く「確実な確認方法」2選
近年は精巧な偽造在留カードが出回っているため、目視だけで判別するのは非常に危険です。出入国在留管理庁が提供する公的ツールを活用しましょう。
①「在留カード等番号失効情報照会Webサイト」で照会する
入管の公式Webサイトで、カードに記載されている「在留カード番号」と「有効期限」を入力することで、その番号が失効していないか(公的に有効か)を即時に確認できます。
②「在留カード等読取アプリケーション」を活用する(推奨)
出入国在留管理庁が無料配布している「在留カード等読取アプリ」(iOS/Android対応)を使用するのが最も確実です。スマートフォンのNFC機能でカード内のICチップ情報を読み取り、券面偽造を完全にシャットアウトできます。
4. 人事担当者が行うべき運用・管理の注意点
- 必ず「原本」を確認する:コピーやスマートフォンの画像データだけでの確認は絶対に避けてください。偽造や改ざんのリスクがあります。
- 定期的な在留期限の管理:雇用後も在留期限の更新漏れ(うっかり失効)がないよう、社内でリマインダーシステムを構築して管理しましょう。
- ハローワークへの届出:雇い入れ時および離職時には、「外国人雇用状況の届出」を必ずハローワークへ提出します。
5. まとめ
不法就労助長罪の処罰を回避し、安全に外国人雇用を進めるためには、「在留カード原本の確認」「就労制限の精査」「アプリによるICチップ読取り」の3点を徹底することが不可欠です。社内の採用フローを今一度見直し、コンプライアンス遵守の体制を整えましょう。