IT人材の不足が深刻化する日本において、海外から優秀なITエンジニアを現地から招聘(呼び寄せ)して自社で採用する企業が急増しています。
海外からエンジニアを招聘する際、どの在留資格(就労ビザ)を申請すべきか、またどのような審査基準が設けられているのかを正確に把握しておくことが不可欠です。本記事では、ITエンジニア招聘時に発行される主要ビザと、入管審査における重要なチェックポイントを解説します。

1. 海外からITエンジニアを招聘する際の発行ビザ(在留資格)
海外から外国人ITエンジニアを呼び寄せる場合、主に以下の3つの就労ビザが対象となります。
| ビザ(在留資格)の種類 | 対象者・主な特徴 | 該当職種例 |
|---|---|---|
| ① 技術・人文知識・国際業務 (一般的に最も多い) | 大学(理系等)卒業者や実務経験者、告示指定のIT資格保有者が対象となる最も一般的な就労ビザ。 | Webエンジニア、システムエンジニア(SE)、プログラマー、インフラエンジニアなど |
| ② 高度専門職1号(号) (優遇措置あり) | 学歴・職歴・年収等のポイント計算で70点以上を獲得した高度IT人材。永住許可要件の緩和等の優遇措置あり。 | AI研究者、データサイエンティスト、ITプロジェクトマネージャー、高度設計者など |
| ③ 企業内転勤 (海外子会社からの異動) | 海外にある自社現地法人や子会社等から、日本の本社・拠点へ同一企業グループ内で異動・出向する場合。 | 海外拠点の現地システムエンジニア、ブリッジSEなど |
2. ITエンジニアビザ(技人国)の主な審査基準・要件
海外からエンジニアを招聘する場合、出入国在留管理局(入管)では主に「申請者の要件」と「企業の要件」の双方から審査が行われます。
審査基準①:学歴・実務経験または「指定IT資格」の保有
原則として、以下のいずれかを満たしている必要があります。
- 学歴要件:国内外の大学・大学院を卒業し、学士以上の学位を取得していること(コンピュータサイエンスや工学など関連専攻が望ましい)。
- 実務経験要件:IT関連業務の実務経験が原則「10年以上」あること。
- 指定IT資格による特例(※超重要):学歴や10年の実務経験がない場合でも、法務大臣が指定するIT資格(日本の基本情報技術者試験や、海外の提携資格など)に合格していれば、学歴・実務経験要件が免除されます。
審査基準②:日本人と同等以上の報酬(給与要件)
招聘する外国人に支払う給与額が、同様の職務に従事する日本人社員の給与額と同等以上である必要があります。極端に低い報酬を設定すると審査で不許可となるため注意が必要です。
審査基準③:担当業務の専門性(高度な技術業務であること)
従事する業務が単なる「パソコンのデータ入力」や「機器の梱包・配送」といった単純作業ではなく、プログラミング、システム設計、ネットワーク構築などの高度な専門知識を要する業務であることが必須となります。
審査基準④:受入れ企業の財務安定性と受入れ体制
企業がエンジニアを継続して雇用し給与を確実に支払えるよう、企業の経営状況(直近の決算書等)や事業の継続性・将来性が評価されます。新設企業の場合は詳細な事業計画書の提出が必要です。
3. 海外からの招聘手続き(COE交付)の流れ
海外から人材を直接呼び寄せる場合、まずは日本国内で企業側が受入代理人として「在留資格認定証明書(COE)」を取得する流れとなります。
- 雇用契約の締結:現地人材と日本の受入れ企業間で労働条件を決定し契約締結
- 日本国内でのCOE交付申請:企業(代理人)が日本の入管へ「在留資格認定証明書交付申請」を行う
- COEの交付と現地送付:審査許可後、発行されたCOE(原本または電子COE)を現地の本人へ送付
- 現地大使館・領事館での査証(ビザ)発給:本人が現地の日本大使館等へCOEを提示しビザ発給申請
- 来日・入国:日本の空港・港で在留カードを受け取り、業務開始
4. まとめ
海外からITエンジニアを招聘する際は、メインとなる「技術・人文知識・国際業務ビザ」の要件(学歴・資格・実務経験)を正確に見極めることが大切です。特に実務経験や学歴がない人材でも「指定IT資格」を活用すれば招聘できる可能性があるため、事前の資格確認と正確な立証書類の準備を進めましょう。